オーソモレキュラー療法とは・・・。

栄養素=適切な食事やサプリメントなど(点滴含む)を用いて、身体を構成する細胞の働きを向上させて、様々な病気を治す治療法。足りない栄養を補うだけでなく、栄養を治療に使います。
薬は対処療法、栄養は根治治療です。

オーソモレキュラー療法のがん治療へのアプローチ

 オーソモレキュラー療法のがん治療では、良質なタンパク質などの栄養素を充分量投与し、適切な栄養評価と高濃度ビタミンC点滴等を併せて行います。

 がんは慢性炎症性疾患で、イコールタンパク質消耗性疾患です。

 がんは食事中のタンパクをとるのではなく、体内のタンパク質(体の筋肉を分解して血中にタンパク質を供給します)をとるのです。よって炎症が強いほど(=がんが悪いほど)体内のタンパク質を消耗します。タンパク質の約67%を占めるアルブミンは肝細胞で作られ血液中に存在し、体液濃度の調節などを行っています。そして赤血球の中のヘモグロビンの材料となる栄養素ですので、タンパクが低下すると、アルブミンも低下し、結果貧血を引き起こし、体が低酸素状態になります。低酸素状態では新生血管が増え、がんの増殖を手伝ってしまいます。

 よって、がん治療のオーソモレキュラーとしては、アルブミン値を低下させないことが基本です。そのためには、食事から十分な動物性たんぱく質をとる(腸管からの吸収が悪いと意味がないため、乳酸菌※が重要)ことが重要です。しかし食事から摂取するたんぱく質だけでは追いつかないため、タンパク質を低分子化した製剤:プロテイン、アミノ酸製剤、グルタミン、BCAA※1等を補充します。

 また、カロリーの不足があると、せっかく摂取したたんぱく質がカロリー源として使用されてしまうため、経口でしっかりとカロリーを取ることも重要です。そのために、なるべく高脂肪の食事が必要です。
 ほか、がんは正常細胞の6倍以上の糖をエネルギーにします。そのため、糖はなるべく控えます。

                                                                                                      

 まとめると、がんと闘う基本食事は、高タンパク、高脂肪、低糖質。サプリメントとしてはタンパク質の補充として、プロテイン・アミノ酸・BCAA※1等、貧血改善のためのヘム鉄・亜鉛・銅等、その他、乳酸菌、核酸、ω3等の脂肪酸や抗酸化物質としてのセレニウム※2、ビタミンD等を含んだ総合ビタミン剤、免疫賦活剤などをしっかりと摂取します。

※1 BCAA=分岐鎖アミノ酸:筋肉で代謝されるアミノ酸です。アミノ酸には、分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)と芳香族アミノ酸(チロシン、フェニルアラニン)があります。肝疾患になると肝臓で代謝される芳香族アミノ酸(AAA)が代謝されずに血中濃度が高くなります。逆に肝臓でほとんど代謝を受けない分岐鎖アミノ酸(BCAA)は、アンモニア代謝などに利用されるため、血中濃度が低下します。このBCAA/AAAの比率が低下することで、肝臓の蛋白合成能が低下したり、肝性脳症が誘発されたりします。また、血清BCAA濃度上昇により、脳血管関門を通過する芳香族アミノ酸の量が競合的に減少し、肝性脳症の防止にもなります。また、BCAAの1つであるロイシンには肝臓でのタンパク合成を促進する効果もあります。

※2 セレニウム:強力な抗酸化作用があり、がんの発生や転移を抑えると考えられています。人では肺がん、大腸がんと前立腺がんには、特に有効との報告があります。
 チェルノブイリでは、甲状腺の異常予防のためにセレンが使用され、効果を発揮したとされています。また、活性酸素を除去します。ビタミンEは、活性酸素が出来る前段階で、それを抑制しますが、セレニウムの場合は、既に出来てしまった余分な活性酸素を直接分解します。その為に、ビタミンEや亜鉛などと同時に摂取すると、抑制と分解が同時に行われるので、より効果的です。さらにデトックス(解毒)効果もあり、水俣病の原因となった有害物質の水銀を、無毒で安定した化合物に変化させるなど、有害ミネラルなどに対して、デトックス(解毒)の効果があります。

 

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